Sa Majesté la Graine

Sa Majesté la Graine

フランス中部ベリー地方(BERRY)産のキヌア

BERRY GRAINESの経営者ダミアンは2015年、パートナーである妻のマリオンとともに、家族が経営する農業の存続をかけてBERRY GRAINESを設立。キヌアの栽培に着手します。彼の両親は、フランス中部ベリー地方で小麦や菜種などを栽培し、牛を育てる畜産農家でしたが、輸入穀物の増加により長期的な経営が難しくなったためです。

キヌアは南米原産であり、品種は120種以上、色も多様(白、黒、ピンク、赤、緑、紫、茶)、生育する高さも50cmから3mにもなり、栽培地も高地、沿岸、乾燥した場所、湿度の高い場所など、さまざまです。ペルーを訪れたり研修を重ねたり、二人は試行錯誤の末、フランス中部の気候風土や土壌に適した品種を選別して、フランス産キヌアの栽培・収穫に成功しました。

マリオンとダミアンが掲げた目標は、100%フランス産であること、農薬の使用を可能な限り制限すること、畑から食卓までを目に見える形でつなぐこと、農家の仕事の価値を伝えること、健康に良い安全な食材を届けること…。意欲あふれる30代前半の二人に賛同する農家の輪が広がり、キヌアやレンズ豆やひよこ豆などの栄養価の高い穀物を栽培して商品化しました。

ブランド名は、キヌアがインカ文明の時代に「すべての穀物の母」と呼ばれていたことから「Sa Majesté la Graine(サ・マジェステ・ラ・グレンヌ:穀物の女王)」に。大手企業の商品よりは値段は少し高いものの、その価値を消費者に積極的に働きかける姿勢や農薬残留ゼロを約束する彼らの商品は説得力を持ち、フランス国内の多くの高品質食材店やオーガニック食品店の棚に並ぶようになりました。

Sa Majesté la Graineのキヌア、ひよこ豆、レンズ豆、ポワカセは、フランス産以外のものと比べて、穀物そのものの風味をとても強く感じると思います。私たちFUJII LABELがその理由をマリオンに聞くと、こう答えてくれました。「ここフランスで栽培している穀物の品種は、外国で使われている品種と異なります。また、小石や泥が混じった粘土質の土壌、日照時間や雨量といった気候も関係しているはずです。それに、成熟の度合いが適切な日に収穫をしていることもとても重要です。あとは、フランス人農家ならではの農業に対する感性も無視できない理由だと思います」。

従来の農業では輸入品に価格で対抗できなくなったことから新しい農業の形を構築した二人は、フランスの次世代の農業経営者を代表する存在です。その革新性や創造性が評価され、マリオンは2018年にGraines d’agriculteurs(若手農業経営賞)の審査員賞、2019年にCréateurs d’avenir(有望な農業経営者賞)を受賞しています。

crédits photo : Léa Crespi

環境と農業を守る認証
La Haute Valeur Environnementale
(HVE:高い環境価値)

BERRY GRAINESは、現代に適した農業モデルの構築を目指し、責任ある適性農法により穀物を生産しています。2021年現在、パートナーシップを結んでいるすべての畑がHVE レベル3またはBIO認証を取得しました(2022年収穫分から)。

HVEは、フランス農業省が2011年に設立したCNCE(環境認証国家委員会)が交付する3段階に分かれた認証で(最高がレベル3)、自然環境、農産物加工業者、供給業者、消費者団体それぞれを保護することを目的としています。HVE認証を受けた事業者は、実施している農法が自然のエコシステムを保全し、環境(土壌、水、生物多様性等)への影響を最小限に抑制していることを約束します。農薬等の使用を制限するBIO認証に対して、自然環境の保全を目的とした認証です。

 crédits photo : Julie Béal